港まち手芸部 

Minato Knitting ’n Stitching Group

2017-on going Aichi, Japan

2017年から名古屋市港区西築地学区にある、港まちづくり協議会の提案公募型事業に採択され、現在は委託事業(2024年から)として継続している企画。港まちに住む人々を中心に愛知県内外から20代から90代の人が集い、手芸を学びあう場として宮田明日鹿が企画運営をし「家の中のことを外に出してみる」実践として継続している活動です。
週に1回、午前中の2時間、地域の方を中心に手芸が好きな方、はじめての方、いろんな地域からの参加者も集まって手を動かしています。作るものは決まってません。道具と材料は寄付で集まったものを参加する方と共有しながらそれぞれ、制作しています。
1年に1回展示を開催しています。
日々の活動記録はインスタグラムにて更新中。 @minato_shugei
港まち手芸部をきっかけに、出張手芸部を豊田市美術館、岡崎市美術博物館、尾州フェス、アッセンブリッジ・ナゴヤのブロックパーティー、小笠原財団の助成を得て能登半島などで開催。2021年より金石手芸、2022年より有松手芸部、2023年よりせんだまち手芸部、2024年より本町手芸部を立上げ、現在は地域の方が運営を継続しています。

2020年、港まち手芸部テーマソングのメイキング映像を公開しました。
こんにちは!港まち手芸部です。Vol.4 にて展示した映像です。リンクはこちら ↓ 

名古屋市港区で、港まち手芸部を立ち上げて9年が経ち、そこからみえてくること、考えることについて。
私の運営する手芸部は、参加者同士が教えあい、学び合い、肩の力を抜いておしゃべりながら手を動かせる場所を目指しています。
場をひらくと、集まる人々と学び合える時間になります。手仕事を通して技術、暮らし、日々のことをおしゃべりし、手を動かしながら伝え合うことは、家の中のことを外に出してみる試みになっています。この活動を開催している港まちポットラックビルをはじめ、周辺で現代美術のプログラムがあることが、私や手芸部に参加する人々に影響を与えています。3年に1度活動の記録をまとめている冊子に詳しく記載しています。冊子を読みたい方はご連絡ください。PDFにて共有いたします。

活動を続けていくと、手芸という言葉がもつ矮小化された視点に違和感を持つようになりました。そこで山崎明子さんの本を手に取りました。歴史的背景を通して紐解いていくと、手芸はかつて内職、お針子仕事、女工仕事、養蚕、和裁、洋裁など女性がする仕事を指していました。家父長制の中で女性が学ぶものとされ、教育はじめ教室文化を形成し、家のなかを飾るための趣味的な編み物、かぎ針、棒針、カゴ細工、刺繍、レース、パッチワーク、造花、ちりめん細工、紙工作など多岐に渡る技法を総称して手芸という言葉は変化してきました。また、ファッションとも近しい位置にありながら手芸は、無償労働、もしくは安価な内職として今でも手仕事として営まれていますが、貨幣価値に左右されないところで作れる、作ることを楽しめる人達と私は手芸部で出会ってた、ということについて同時に考えを巡らせます。
教育現場では、1985年に日本が女性差別撤廃条約に批准し、家庭科教育が1993年に中学校は全学年から、高校は1994年入学の1年生から男女必修となりました。(女性差別撤廃条約は国連で1979年に制定され日本は遅れること6年後の1985年に批准した。その後1999年に選択議定書ができたが、まだ日本は批准していない。詳しくはこちらへOP CEDW ACTION
それから手芸が持つ言葉の意味や在り方が変わったと言えるのだろうかと、社会構造、フェミニズムの視点が重要で学び続けています。
手芸部を継続する中で、いろんな考えの方がいることで無自覚、無意識の差別に気づいていきました。それは私自身も差別する側である、という気づきにもなりました。分かり合えなさについて、時代だからねと、見過ごされてきたことについて、2023年からクィアコミュニティーで使われているグランドルールを用いることで、手芸をきっかけにして集まったコミュニティーがいかにマジョリティーの集まりであるかを自覚するとともに、グランドルールの共有の難しさに向き合いながら対話を続ける実践をしています。

手芸部の活動を通して技術をもつ方に出会い、技術をもつ人々の作ったものを個展形式で展示し、家の中から外に出す行為として、撮影しアーカイブ本を制作、同時にインタビューを収録。つくる行為、手芸についての定義をとらえなおす調査、記録をしています。

アーカイブ本について
『Knitting’ n Stitching Archives』 国際芸術祭「あいち2022」にて発表。
2017 年より名古屋市港区で港まち手芸部をスタートし、現在も継続している活動のアーカイブブック。活動で出会った5人の方が作ってきたものを写真に収めました。テキスト、展示風景、作者のポートレイト、作品が収録されています。
サイズ 厚み4cm よこ14.9xたて10.4cm 284ページ50部発行 
「Knitting’ n Stitching」(ニッティングアンドスティッチング)とは、「Stitch`n Bitch」を引用して作ったタイトルです。
※「Stitch`n Bitch」という名前は第二次世界大戦以来、世界中の場所で毎週または毎月集まる編み物、刺繍、パッチワークなど、時には政治的、社会的、技術的変化に対する抵抗を表現する人々の集まりに使われている。

2024年11月に国際芸術祭「あいち2022」にて発表した手製本のアーカイブブックが、増補新装版として ELVIS PRESS にて発刊しました。
150mm × 150mm   320 pages,
softcover, PUR binding, offset print
1st Edition of 2000
Publication date: November 2024
3,500 yen + tax
buy : https://artlabo.ocnk.net/product/10175
アーティスト・宮田明日鹿が2017 年より名古屋市港区で主宰している「港まち手芸部」の作品集。
活動の中で出会った60代~90代の7人の作り手が、これまで長い時間をかけて作ってきたものを紹介するほか、作り手のインタビューや、アーティスト・長島有里枝によるエッセイ、研究者・山崎明子の論考も収録しています。
子どものために作ったワンピース、教室に通いながら数年かけて完成させた刺繡、無心で手を動かしたレース編み、ありあわせの毛糸で作ったセーター……。家族や身近な人のために、そして自分のために作り、大切に保管してあったものたちから、私たちは何を受け取ることができるでしょうか。
今を生きていくための技術である、「手芸」という文化、営みに触れる、普遍的な一冊に仕上がりました。
―――
彼らの作品や語りからは、作ることへの飽くなき探求心、作るという行為がもたらしてくれるもの、手芸と共に歩んできたひとりひとりの固有の人生と営みが浮かび上がってきます。
本書を通して、これまで家庭的なイメージが付与され、趣味的な活動として矮小化されてきた「手芸」というものを改めて捉えなおすことができないだろうかと考えています。
(「はじめに」より)


※港まちづくり協議会 
名古屋市港区にある、商店街の旧文具店のビルを再生した拠点スペース、ポットラックビルは、まちづくりやアート情報が閲覧できるラウンジや、イベントや展示が可能な展示室を持つ。現代美術のプログラム、展示、ワークショップ、スタジオ、様々な活動が交差し、港まちエリアでコミュニティ活動などのまちづくりを行う団体。同拠点で開催される現代美術のプログラムには、Minatomachi Art Table, Nagoya(MAT, Nagoya)アッセンブリッジ・ナゴヤがある。

Photo | Tomoya Miura / Photo courtesy | Assembridge NAGOYA Executive Committee
Photo | Noritaka Emoto, Noriko Yamada, Aiko Okamatsu / Photo Courtesy | Joint Committee of Port Town