おしらあそばせ

awai art center

2018 Nagano, Japan

2018
絹の結び糸、木、回転モーター、鉄、馬毛(使い終わったバイオリンの弓)、陶器、ガラス、アクリル
サイズ可変
素材提供 本郷織物研究所
額、モーター制作 ミラクルファクトリー

新「おしらあそばせ」
ここ松本では、どうやら娘は天に飛んだと見せかけて、父親から逃れ、各地を旅し、
立ち寄った先々で馬の絵、像、木馬をみてはあの馬を思い出してしまっていたそうだ。
という話しがあったらしい。

今作品は「絹」と「馬」に着目し、タイトルを「おしらあそばせ」(オシラアソバセ)としています。「おしらあそばせ」とは、東北地方のお祭りの儀式で、馬娘婚姻譚が深く関わっていて
一般的には、人間と異者が結婚する異類婚姻譚の一種で馬と娘の悲話が語られています。
馬は娘に恋をし、それを知った父が馬を殺し、悲しんだ娘は天に飛んだ。
その後、両親の夢枕に立ち、臼の中の蚕虫を桑の葉で飼うことを教え、絹糸を産ませた。
それが養蚕の由来になったとされています。
口承文芸として東北地方から九州まで分布したといわれ、諸説あります。
蚕産業は近代日本を潤わし、お蚕様は大事にされ蚕を祀った神社は全国にありました。
しかし、蚕産業は衰退し、蚕を祀った神社も神様替えをしてしまっています。
例えば、蚕の豊作を願う神社から、迷いねこを探してくれる神様に神様替えしてしまった神社があります。
ここで、思ったのは私自身の宗教観についてです。
私は年始に神社へ行き初詣をします。
神社を見かければお願い事をします。
友人の結婚式では教会のようなところヘ行くことも多いです。
お葬式はお寺でお経をあげてもらいます。
商売繁盛のお願いは、神社へ行きます。
8月のお盆はお寺に行って、亡くなった先祖に挨拶をしに行きます。
私は、はっきりとした宗教観がなく、私たち日本人の多くが、多様な宗教をその時に合わせて使っています。
そんな多様性を持ってしまった宗教観は、時代とともに、いろんなものを神様として祀り、変化していきました。
このお話し、「オシラアソバセ」も民俗史的な広がりがあり、時代とともに民俗学者の解釈で変容していきました。そこで、私は新たな解釈を加え、物語を作ることで伝えられてきたことに疑問を投げかけました。
本作は、本郷織物研究所より、反物を織る際に端に余る用途のない絹の「端糸(はしいと)」を譲り受け、
この短い糸をつなぎ、いくつかの要素と交わりながら作品を展開しました。


photo | Takeshi Hirabayashi